2020-01-01から1年間の記事一覧

トラウマではなくイデオロギー

近年の著作で大家の風貌を覗かせつつあるリチャード・クーだが、その彼にしても、アイディア・トラップから自由になることは難しいものらしい。自身の提唱する「バランスシート不況」の概念に拘泥するあまり、昨今の日本企業の行動様式を、トラウマに起因する…

「g>r」という虚妄

何やら、偉い学者サンたちの間で、「g>r」なるものが、静かなブームであるらしい。変な人達だなあ、という印象しか出てこないのは、私の方が変であるせいなのだろうか?https://komodon-z.net/2020/06/02/corona14/ 偉くもなければ学者でもない立場から見る…

トマ・ピケティの解釈に対するリチャード・クーのコメント

かつての世界的なブームが嘘であったかのように言及されることのなくなったピケティの著作だが、リチャード・クーの近著で久しぶりにあの書籍に対するコメントを見た。もっとも、その後、一部界隈では、「バラモン左翼」なるキャッチフレーズが話題になってい…

国債は負債ではなく資産???

最近、「国債は負債ではなく資産」なる誤解を招きかねない表現を目にして、私は心の中で大声で次のように叫んだ。「違うだろ、このハゲ~!」(©豊田真由子)。 改めて説明する必要も無いが、国債は政府にとっては紛れもなく負債であり、民間にとっては資産で…

「殴る相手」

元・厚労省の官僚で、労働法・労働政策の研究者である濱口桂一郎氏のブログに「殴る相手」なる一寸変わったタイトルのエントリーがあったので覗いて見たのだが、、、http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-712841.html いや、だいたい想像でき…

ビタミンD仮説(?)終了のお知らせ

事前にバイオバンクに登録・保管されていた血液サンプルを用いたUKの研究。グラスゴー大学の研究者によるもの。https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1871402120301156?via%3Dihub 表面上はビタミンDと関連があるように見えるが、交絡要因を補…

先日のEurekAlert!のビタミンDについての記事を、、、

「リンク・デ・ダイエット 世界の最新健康・栄養ニュース」が取りあげていた。分かりやすく解説してくれているので、一読をお勧めする。https://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=70684&-lay=lay&-Fin…

どうやら銀行は自助努力をしていたらしい

興味深い記述を見かけた。以下は『「追われる国」の経済学 ポスト・グローバリズムの処方箋』(2019,リチャード・クー,東洋経済新報社)からの引用である。 「こうした反対の大合唱によって、不良債権の処理は2年間先送りされた。しかし、日本の銀行は1995年か…

High doses of vitamin D supplementation has no current benefit in p reventing or treating COVID-19 | EurekAlert! Science News

高用量ビタミンD補充などという文字を見て腰を抜かしそうになった。脂溶性のビタミンなのだから、まず、過剰症の心配をしてほしい。https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-05/uos-hdo052120.php 記事中で紹介されているBMJ,Nutrition,Prevention and…

何故この時期にマイナス金利???

昨今の混乱に乗じて、マイナス金利の導入を唱えている人がいるらしい。私など、銀行の経営状態を悪化させて、手数料の値上げを促すだけではないか、などと思うのだが、何かメリットがあるのだろうか?https://himaginary.hatenablog.com/entry/20200512/the-…

慌ててサプリなどを買い込まないように

海外の記事をそのまま紹介した情報が出回っているようだが、記事の基になった論文は問題探索型の簡易調査で、因果関係を証明したものではない。Vitamin D Insufficiency is Prevalent in Severe COVID-19 https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.2…

統合政府とかいうタワゴト(4)

議決権の無い株式を何割所有していても、普通は、その会社を子会社と見做す事はないだろう。それは、単に、配当収入の源泉の内の一つに過ぎない。ここを間違えるようでは、実際には、中小企業診断士の業務はまともには務まらないだろうと心配になる。 以下の…

通貨は納税によって破壊されない

以下の引用に示されているように、通貨は納税によって、金融市場から一時的に外に出るだけで、決して破壊されるわけではない。また、外に出ていた通貨は、公共事業代金の支払いによって金融市場に戻されるのであって、政府が無から創造しているわけではない…

山口先生! 質問です

(引用開始) 「政府の債務残高が国民の金融資産残高にだんだん近づいてきている。だから財政破たんは間近だ」という主張は正しいのか 山口 こういう説をとなえている人たちの頭からは、大事なことが忘れ去られている。それは、「政府債務が増加すると、それに…

人口甘味料を巡る専門家たちのドタバタ劇(5)

普段ならば質問と返答の一往復で終わる筈なのだが、この時は、なぜか、論文著書のreplyの後に、わざわざもうひとつのletterが追加された。勿論、論文に対して否定的な内容なのだが、問題点が網羅的に指摘されていて、当該論文をどう評価すべきかについての総…

「国債市場特別参加者」の資格を持っているのは何処だろうか?

・・・という疑問を持って、ネットで検索したことがある。もう、十年以上前のことだ。 ところが、私の調べ方が悪かったのか、出てくるのは「どのような制度なのか」を説明したものばかりで、肝心の参加者については、ほとんど情報を得ることができなかった。一…

統合政府とかいうタワゴト(3)

この人は一体何者なのだろう。公的な研究機関のHPに併設されているブログと言われても納得してしまいそうだ。 興味深い記事を紹介してくれているので、リンクを貼っておく。 これを読んで内容を理解した上で、なおかつ「統合政府」などと言い出す人がいたら…

MS(マネーストック)は国庫に移動すると、定義上、MSにはカウントされない・・・らしい

初めて知った(←遅いよ!) 経歴を見る限り、日銀生え抜きの実務家と表現して差し支えない人物のようである。 以下の記述は、国債の購入者が民間商業銀行であるか否かによってMSの総量が違ってくるという点についての解説として秀逸であるが、同時に、民間預金…

まだマスクを推奨してなかったのかよ!

さすがに驚いた。 しかも、BMJって! Time to encourage people to wear face masks as a precaution, say experts 9-APR-2020 https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-04/b-tte040920.php

人口甘味料を巡る専門家たちのドタバタ劇(4)

論文に対して公の場で疑念を呈された場合、煩を厭わず応答するのが研究者としての仁義であるらしい。その点から見れば、ダンマリを決め込んだりせずにリプライを返したこの論文の著者の態度は誠実なものであったと言ってよい。 但し、この場合に限っては、残…

危機に於いては、拙速は巧遅に勝る

幅広い支出が最優先だという当たり前のことを、財政タカ派の多い共和党の御用学者(←偏見かな?)でさえ理解しているようだ。 いびつな経済・社会構造を抱えつつではあるが、アメリカは何とか立ち直るだろう。そして、日本は更に没落するだろう。 https://hima…

貨幣と政府・銀行についての走り書き的覚え書き

現時点での私の理解に基づいて、貨幣と政府及び銀行との関わり合いについて略記する。銀行は、その性格の違いから、中央銀行と商業銀行とに分割する。*政府 メソッド:①税、②国債 対象 :既に市場で評価を受けた価値 手法 :①巻き上げて使う(税) ②借りて使…

人口甘味料を巡る専門家たちのドタバタ劇(3)

批判的な意見を寄せたのは一人だけではなかった。 六万人を超えるデータなのに考察の対象にしている人数が極端に少ない・・・という指摘で始まる以下のレターでは、論文中の回帰分析の数値に着目している。 ポイントは、 加糖飲料をたくさん飲む人のRR(相対危険…

人口甘味料を巡る専門家たちのドタバタ劇(2)

当然のことながら、この論文に対しては疑問が投げかけられた。内容を子細に検討すると、看過できない瑕疵がいくつかあるとの指摘である。 要約すると、* データ採集の際に用いられた食事に関する質問票の設定が荒い上、実際とはズレが生じ易い記入法で被験…

人口甘味料を巡る専門家たちのドタバタ劇(1)

きっかけは、この論文である。 糖分を含む飲み物を飲む頻度の高い人が2型糖尿病になりやすいことは、膨大なデータを参照するまでもなく、当たり前のこととしてごく自然に受け入れられるだろう。だから、それをデータによって裏付けたとしても、さほど驚きを…

オメガ3系の脂肪酸と炎症マーカーについてのレビュー

Effects of Flaxseed Interventions on Circulating Inflammatory Biomarkers: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials Advances in Nutrition, Volume 10, Issue 6, November 2019, Pages 1108–1119, https://doi.org/10.1…

「銀行が保有している分」と言っているではないか

人の発言を歪曲する相手に正しい理解を求めることは難しい。以下は、その格好のサンプルである。かなり古い「ニュース」だが、それ故にこそ、より望ましい判断のための材料として(今なら)冷静に 見つめ直すことができるのではあるまいか? (引用開始) 令和ピ…

ショック!! 全粒穀物で炎症マーカーは低下しなかった

The Effect of Whole-Grain Intake on Biomarkers of Subclinical Inflammation: A Comprehensive Meta-analysis of Randomized Controlled Trials Advances in Nutrition, Volume 11, Issue 1, January 2020, Pages 52–65, https://doi.org/10.1093/advance…

日銀の「パフォーマティブ」貸借対照表?

一般的な貸借対照表が実際の商行為の結果を客観的に表現したものだとするならば、日銀にかかわるそれは、かなりの程度、行為遂行的な性格を持つのではないかという印象を受ける。 そこで行われているのは、既に市場で低リスク資産と看做された債権(等)を「適…

替え歌です(3)

雲行きが怪しいようですね。 天気予報を見てみましょう。 「晋三、平蔵、天気予報!」 ♪ボクの名前は晋三 ボクの名前は平蔵 二人揃ってネオリベだぁ 君と僕とでネオリベだぁ 儲けの機会は「民営化」 疑獄の前身「民営化」 線路に道路 郵貯に簡保 水道事業も…