統合政府とかいうタワゴト(4)

 議決権の無い株式を何割所有していても、普通は、その会社を子会社と見做す事はないだろう。それは、単に、配当収入の源泉の内の一つに過ぎない。ここを間違えるようでは、実際には、中小企業診断士の業務はまともには務まらないだろうと心配になる。

 以下の引用に示されているように、日本銀行の出資者には、議決権は与えられていない。

 常識的に考えても「これだけ出資しているのだから俺の要望を聞け」などと言い出されたのでは、金融市場を安定させたり、通貨の価値を保ったりするのは無理だろう。


https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/outline/a12.htm/

日本銀行の出資者の権利は、会社法の株式会社における株主の権利と、以下の点で異なっています。

(1)日本銀行には、株主総会に相当する出資者総会は存在せず、出資者に議決権の行使が認められていません。(以下略)」

(日本銀行HP「教えて!にちぎん」)


 「日銀は政府の子会社だ」などというのは単なる個人的な「意見」であって、法的な根拠を欠いている。



(付記)

 普通の上場企業の株式でも、「優先株」には議決権が無い。

 わかりやすい解説があったので、以下、参考まで。

優先株は、配当を優先的に受けられる。配当とは、利益のうち企業に内部留保されず株主に払い戻される分だ。だがこの優先権は、企業の重要な意思決定の投票権を犠牲(に)して贖われたものだ。すなわち上級経営者の指名権や彼らにいくら報酬を支払うべきか、合弁すべきかどうか、他の会社を買収すべきか買収されるべきかなどについての投票権である。」(引用文中の()内は、引用者の捕捉)(2015・ハジュン・チャン『ケンブリッジ式 経済学ユーザーズガイド』東洋経済新報社)