「国債市場特別参加者」の資格を持っているのは何処だろうか?

 ・・・という疑問を持って、ネットで検索したことがある。もう、十年以上前のことだ。


 ところが、私の調べ方が悪かったのか、出てくるのは「どのような制度なのか」を説明したものばかりで、肝心の参加者については、ほとんど情報を得ることができなかった。一番詳しいものでさえ「メガバンク3行をはじめ、証券会社など25の参加者に・・・」としか書かれていない。


 「多分、野村と大和は入っているだろうけど、あとは何処だろう。山一はとっくに潰れているし(’97年11月に「自主」廃業)」とか、「郵政公社はどうなんだろう。一番始めに名前が出ていても良さそうなものだけど」という疑問が頭をかすめたが、それ以上調べる気にはなれず、それっきりになっていた。


 最近(なぜか)、そのことを思い出して、改めて検索したところ、三十秒とかからず、目当ての情報に行き着いた。以前、あれこれとキーワードを変えて試行錯誤したのが嘘のようだ。


 以下、該当部分を、そのまま引用しておく。この辺りの事情に詳しい人でも、参加者を全て挙げるのは難しいのではないだろうか?



日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


日本の財務省国債取引で実績のある大手金融機関に与える特別な資格。国債の安定消化や国債市場の流動性向上のため、欧米主要国の制度を参考に、財務省が2004年(平成16)10月に導入した。アメリカのプライマリー・ディーラー制度にちなみ、日本版プライマリー・ディーラーともよばれる。財務省が開催する国債市場特別参加者会合に参加し、財務省が検討する新しい仕組みの国債や制度について意見交換ができる。また有利な価格(平均価格)で国債購入が確約される国債非価格競争入札に参加し、発行予定額の20%まで有利な価格で購入できる。このほか資格保有者限定の国債買入消却入札、国債流動性供給入札(国債流動性を保つため、財務省が品薄になった銘柄を追加発行する制度)に参加できる利点もある。さらに元本と金利部分を分離できるストリップス債の分離・統合の申請や、金利スワップ取引で優先的な取引相手となることもできる。一方、資格保有者はすべての国債入札で発行予定額の5%以上を応札し、短期国債で0.5%以上、中期・長期・超長期国債では1%以上の落札を義務づけられている。また、国債取引に関する情報を財務省に提供し、国債市場に十分な流動性を提供する義務を負う。

 2017年8月時点で、国債市場特別参加者の資格をもつのはメガバンク2行(みずほ銀行三井住友銀行)と証券会社19社(SMBC日興(にっこう)証券、岡三(おかさん)証券、クレディ・アグリコル証券、クレディ・スイス証券ゴールドマン・サックス証券JPモルガン証券シティグループ証券ソシエテ・ジェネラル証券、大和(だいわ)証券、ドイツ証券東海東京証券野村証券、バークレイズ証券、ビー・エヌ・ピー・パリバBNPパリバ)証券、みずほ証券、三菱(みつびし)UFJモルガン・スタンレー証券メリルリンチ日本証券モルガン・スタンレーMUFG証券UBS証券)である。日本銀行のマイナス金利政策の影響で、国債保有し続けると損失が発生しかねないため、三菱東京UFJ銀行は2016年7月、国債市場特別参加者の資格を返上した。リーマン・ブラザーズ証券のように破綻(はたん)やリストラで資格を返上した外資系金融機関はあったが、日本の金融機関の資格返上は初めてである。[矢野 武]

[参照項目] | 国債



《付記》

 上記の解説で気になるのが「財務省が検討する新しい仕組みの国債や制度について意見交換ができる」というという点で、ただでさえ「外圧」に弱い(というより相手の意見を丸呑みしがちな)我が国の官僚が、外資系企業が大半を占める参加者たちとそのような場を設けるのは、如何なものかと思う。こちら側の方針を説明するだけでよいのではないか?

 もう一つ気になるのは、年金機構や旧郵政公社系の企業が入っていないことである。これは、これらの企業が資産運用のために流通市場から国債を購入する場合、外資系企業に手数料を払って買い入れる確率がかなり高いことを意味している。