編集委員たちも動揺しているみたいだな〈笑〉

 前向きコホートのsystematic review & meta-analysisは、一般にエビデンス・レベルが高いとされている。だから、このタイプの研究の大半に瑕疵が認められた、などという論文を見たら、栄養疫学クラスターの皆様方は、心穏やかではいられない筈だ。当然、同論文を受理・掲載した『米国臨時栄養学雑誌』では、編集委員3名が連名で、コメントを寄せている。

https://academic.oup.com/ajcn/article/113/6/1385/6272430

 ただ、言われていることは月並みで、バイアスやデータの不均質性に気をつけましょう、研究は事前登録しましょう、といった基本事項の確認に過ぎない。いっそのこと、この論文を投稿してきた研究グループに査読を任せてしまってはどうか〈笑〉?

 気になったのは、6段落目に「ヒルの基準」への言及があることだ。これは、観察データから因果関係を推論する際に注意すべき目安を列挙したもので、研究史の上では非常に重要であるとはいえ(50年以上前の提言)、いずれの基準(目安)も問題含みで、現在の研究水準では通用しない。こんにち、これを直接持ち出すのは如何なものか、と思う。

 「ヒルの基準」については、こちらがコンパクトにまとまっていて参考になる。小児科のお医者さんらしい。(⇩)

https://www.dr-kid.net/entry-2018-11-10-064427

※ ⇧本文中の『米国臨時栄養学雑誌』は『米国臨床栄養学雑誌』の間違いです(The American Journal of Clinical  Nutrition)。ああ 恥ずかしい!(2021.8.12追記)