質の悪いデータには質の悪い「研究者」が群がる

https://note.com/shimasho_work/n/n79199f0eeb49

 2週間ほど前のエントリーで、NutriNet-Santéなるインチキなコホート・データを使ったフランスの研究を紹介したが(2020-07-18)、怪しげなデータには怪しげな「研究者」が寄ってくるものらしく、以前にも、このデータを使って、「超加工食品」の有害性を実証したと称する研究が発表されていた。

 実は、この研究は、日本でもいくつかのメディアによって取り上げられているので、ひょっとしたら目にした記憶のある人がいるかもしれない。

 私はといえば、まず、この「超加工食品」なる概念のいかがわしさに辟易させられて(元々はブラジルの研究者の提唱によるもの)、迂闊にも、どのようなデータを使ったのかまでチェックしていなかったのである。いやあ、まさか、あれが先日の「研究」と同じデータを使っていたとは〈笑〉。

 この研究(モドキ)のズサンさについては、幸い、サイエンス・ライターの島田祥輔氏が、《上品》に解説してくれているので、一番上のリンクから覗いてみて頂きたい。私が解説したら、全体の3割以上が罵倒語で占められる《下品》なものになること必定なので、それは控える〈笑〉。もともと、このnoteの解説記事は、とある雑誌に寄稿する予定だったもので、編集者から「もっと刺激的に」という趣旨の要求が来たため、ムカついて自ら取り下げて来たものだそうだ。どこの出版社の何という雑誌がそのような要求をしてくるのか、広く知られるべきであろう。構わん、晒せ!〈笑〉

 興味深かったのは、同じ「超加工食品」という基準を用いてはいるが、もっと厳密な条件の基で行われた介入研究があったようで(米国の研究機関のものだが、これは知らなかった。感謝!)、そのようなマトモな研究を参照しながら考えると、単に加工食品をdisればいいというものではない、ということが自然に理解できるものと思う。

 繰り返しになるが、自ら志願してきた人(だけ)という時点で強い選択バイアスがかかっている上に、チェックを伴わない自己申告による情報だという点で、このNutriNet-Santéなるデータを「前向きコホート研究」のデータと認めるべきではない。