ひとつ前のエントリーでは、薄味に慣れるまでのプロセスで、AGFの「やさしお」のような、ナトリウム削減&カリウム添加型の、《食塩風調味料》を利用するのもアリではないか、という(個人的)見解を述べた。
もっとも、味わいの面で、どうしても馴染めないという人はいるだろうから、無理強いをするつもりはない。実は、私自身、最初に舐めてみた時には強い違和感を覚えたものである。
但し、調理に使えないかといえば、そんなことはない。
例えば、煮物を作る際など、出汁(※1)+爽酒タイプの日本酒(※2)+「やさしお」で八割がた加熱と調味を済ませておいて、最後の仕上げで、煮きり味醂と醤油で味を整えるようにすれば、料理の味に違和感を覚えるようなことはないといっていいだろう。
「やさしお」と同工異曲の製品は、医薬品メーカー(!)や地方の中小企業などでも作られているらしい。中身がさほど違わないのであれば、知名度の高いメーカーのものにこだわる必要はないので、興味のある方は、入手方法を調べてみてはいかがだろうか?
ところで、こうした新製品には、必ずケチをつける輩が現れるものである。
味が気に入らないとか、薄味に慣れるためにはかえって邪魔だとかいう意見はあってもいいし、むしろ、あった方が健全なので、特に取りあげる必要を感じないのだが、インチキ健康食品やインチキ健康思想(著作やメルマガ)を売りつけるためのプロパガンダ的なものは、積極的に取り上げて、馬鹿にしてさしあげるべきだろう。例えば、これ⇩
https://yukishikaku.xsrv.jp/shikaku/health/salt-50cut
のっけからニセモノの塩などという悪罵を投げつけているが、そもそも、本物か偽物かなどという問題ではない。ナトリウムが過剰であれば血管の内皮細胞に大きな負担をかけ、中長期的に血圧を上昇させる。稀に、運良く、そうならない体質の人もいるだろうが、大抵の人はそうだ。
それに、なにやら、天然塩にごくわずかに含まれる成分に血圧の上昇を防ぐ「ぱわぁ」があるかのごとき妄想を抱いているようだが、あいにく、そんな不可思議な「ぱわぁ」は、この世には存在しない。
最近は、インチキ健康情報の業界もなかなか洗練(?)されてきていて、数ある研究論文の中から、自説に都合のよいものだけを上手に選び出し(cherry pickingなどと揶揄される)、科学的に裏付られた説であるかのように装う技術が大幅に進歩しているのだが(⇦そんな進歩はイヤだ〈笑〉)、このリンク先の主は、そうした商業的努力(?)すら怠っている。
これって、どういう層をターゲットにした商売なんだろう?
※1 「煮干し+昆布」の水出汁を冷蔵庫に常備しておくと便利です。出汁殻は、もちろん、酒のツマミとして再利用できます〈笑〉。
※2 香味による日本酒のタイプのひとつ。大きく4タイプがあり、
「薫酒」華やかな香りを持つもの
「爽酒」香り・味わい共に穏やかなもの
「醇酒」複雑で濃厚な味わいを持つもの
「熟酒」長期間寝かせることによって熟成香や口当たりの滑らかさが加味されたもの
・・・と分類するのが一般的です。
かなり前の話ですが、実は、私、日本酒好きが高じて、「唎酒師」の資格を取ってしまいました〈笑〉。あの頃は、若かった。