バイエル(旧・モンサントの現・親会社)の「和解」についてのプレスリリース

 要旨を邦文で紹介している記事があったので、参考までに。

https://agrifact.dga.jp/faq_detail.html?category=&page=1&id=156

 技術力や資本力の点で、特定企業が「主権国家」の「食糧安全保障」に影響を及ぼしかねない状況というのは、確かに存在している。「愛国者」たちが危機感を抱くのは、ある意味、当然のことであると言えよう。しかし、これに対抗せんがために、デマを流布することを容認してしまえば、「愛国者」たちの夢想する望ましい国家運営など、永遠に実現しないのだということだけは、理解しておいた方がよい。実現するのは、愛国デマvs.愛国デマの泥仕合である。

 デマの拡散に荷担している「愛国者」によれば、ぐろーばる企業の圧力によって、健康被害を与えかねない農薬が、我が国に不当に押し付けられそうな状況にあるのだそうだ。しかし、よほどの「情弱」でなければ、昨今アメリカで盛り上がっている訴訟騒ぎの大半は、食い詰め法律家が裕福な企業を標的に、PL法上の記載の不備を盾にとって起こしている「訴訟ビジネス」だ、ということに、既に気づいている筈である。この事例から学ぶべきは、必要もないのに法科大学院の卒業生を大量に作り出したらロクなことにならないということではないのか?

 確かに、製品(農薬)のパッケージに、「使用上の注意」を明記しておかなかった旧・モンサントは、職業上の倫理に対する配慮に乏しかったと言うべきだろう。安全基準を満たした農薬であっても、使用時には濃度の高い「劇薬」であることは間違いない。使用者(農業者)に対する注意喚起は、最低限必要である。

 だが、この騒動を紹介するにあたって、「使用時においては濃度が高い薬物」が、「農業者に対して」与え得る被害(に対する注意喚起)という条件を故意に伏せて、標準的に使用された農薬が収穫時に残留して健康被害を引き起こすようかのようにほのめかす(あるいは、そのように誤解してくれることを期待する)ような手口は、許されるべきものではない。それは明らかに卑劣漢の振る舞いである。