「BCGとビタミンDは新型コロナウイルス肺炎予防に有効か?」

 一昨日発売された、月刊誌『栄養と料理』(2020年8月号)は、佐々木敏氏の連載に目を通すためだけにでも、ぜひ購入して頂きたい。
 今月のテーマは、「生態学的研究」と呼ばれるタイプの研究の性質と役割を(あらためて)確認することなのだが、そのための事例として引かれているのが、ひところ話題になった「BCG仮説」と「ビタミンD仮説」なのである。
 結論を先に述べると、両者とも、生態学的研究によって有望な仮説として提示され、後に、より精密な研究によって否定されるという経緯を辿っている(まだ信じ込んでいる人は悔い改めるように)。
 ならば、この生態学的研究は信用のならない無駄なものなのかといえば、そういうわけではない。どこをどう調べれば良いかはっきりとは分からない段階で、本格的な研究のためのきっかけを作るのは、大抵、このタイプの研究なのである。
 良識ある学者らしく、佐々木氏は、一連の研究の流れの中の「入り口」に位置するものだと、穏やかに表現している。私なら、「暴走族の特攻隊長や切り込み隊長みたいなモンですよ」と放言して顰蹙を買うところだろう。猛省したい。