質屋用語を参考にして、日銀(中央銀行)は資産「買い入れ」ではなく「質預かり」と呼んでみては?

 質屋は質草を「買い入れる(購入する)」などとは、普通は言わない。まあ、質流れの場合は買い入れたことになるのだろうが、、、 ならば、なぜ、中央銀行が資産(適格担保)を「買い入れる(購入する)」などと表現するのか? せめて、「担保にとる」ぐらいの表現にとどめておいてくれれば、多少はマシであっただろうに、、、

 「買い入れ」という言葉を使うのは、単に、英文でpurchaseの語が用いられているからなのだろう(⇦違ったら教えて下さい)。しかし、これでは、中央銀行が不可思議な「ぱわぁ」を使って、何も無いところから魔法のように通貨を生み出し、それを使って買っている、という妄想を生み出しかねない。

 そうではないのだ。

 中央銀行がやっているのは、市場で確実に買い手がつくモノを「質草」として「質預かり」したうえで、そのモノの市場価格の範囲内で、買い物に使いやすい道具(貨幣)を手渡してやるだけのことだ。この道具(貨幣)の価値は、当然のことながら、「質草」の市場価格によって裏付けられている。

 仮に、市場で買い手のつくモノを「商品」と定義するならば、中央銀行が発行する貨幣は、商品貨幣的な性質が濃厚であるといえるだろう。これに対して、商業銀行の発行する預金貨幣は、より信用貨幣的な性質が強い。

 要するに、「信用貨幣か商品貨幣か」などと二者択一を迫ったりする者は、コトの本質が何も分かっていないのだ。仲間内だけで思想ゴッコや言葉遊びに興じるのは勝手だが、それでは、実務家からは、永遠に相手にされないだろう。