どっちにしても太るんだ〈笑〉

 マイルドな炭水化物制限食に該当する人のデータを再解析したところ、クオリティの高い食材でMacronutrient(いわゆる3大栄養素(*1))を摂取するグループの方が、そうでない方にくらべて、体重の「増え方が遅かった」そうである。いや、でも、どっちにしても太るんだ〈笑〉。

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Low-Carbohydrate Diet Macronutrient Quality and Weight Change

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2813286

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 データは、アメリカのNurses' StudyのⅠとⅡ、及びHealth Professional Follow-Up Studyのものを使用。名前が示すように、医療関係者の協力によって得られたもので、いずれも大規模なものである。医療関係者でさえこうなのだから、一般人はもっと太るよな。

 最初の方に書かれている通り、極端な糖質制限を行えば短期間で体重が減るのだが(*2)、長期間継続した場合の安全性は保証されていない(*3)。そこで、持続可能なゆるやかな糖質制限の中では、どのようなスタイルが体重減少に有効かを探ってみたのだろう。

 もちろん、こういう観点の研究はあっても良い。だが、ことアメリカに関して言えば、食材のクオリティの違いをあれこれ分析する暇があるなら、このぐらいの体格の人はこのぐらいの量で充分ですよ、という、量の面での啓蒙活動に励むべきだと思う。明らかに食いすぎだもの〈笑〉。

 

*1 タンパク質・脂質・糖質というmacronutrientを3大栄養素と呼び、ビタミン・ミネラルというmicronutrientを加えて5大栄養素と呼ぶのは、おそらく日本独自の慣習であろう。必要量が全く違うのだから、「5大」というのはおかしい。別の用語を工夫すべきである。

*2 持続期間が半年ぐらいになると、短期間ではみられた優位性はなくなり、他のタイプのダイエットと変わらなくなる。短期での数値上の優位性は、水分と筋肉の減少を伴う、望ましくないケースが含まれているためだ、という指摘もある。

*3 よく、能天気に糖質制限を讃えるそそっかしい医師の著作を見かけるが、こういう人は短期間の介入研究しか参照していない。