相関関係と因果関係の区別がつかない人に政策提言をさせてはいけない

 3か月ほど前に「???」と思ってメモをとっておいたけど、忘れていた〈笑〉。

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『経済成長をもたらす「マイルドなインフレ」』(2021-07-03 07:04:52)


(⇧) とある経済評論家の、ある日のブログ・エントリーのタイトルである。仮にこれをAとして、順序を入れ替えたものをBとすると、、、

A 経済成長をもたらす「マイルドなインフレ」

B 「マイルドなインフレ」をもたらす経済成長

、、、という二通りの表現が得られる。(かなりアバウトではあるが)常識的に考えて、このうち、どちらが現実世界の因果関係をより適切に表しているかといえば、間違いなくBの方だ。Aの因果経路も確かに存在するが、影響力は微弱であろう。

 

 経済評論家ばかりか、本職の経済学者ですら認識が怪しい人がいるようなのだが(アカデミズムではきちんと区別出来ている人が多数派であると信じたい)、マクロ・レベルの経済データは、介入研究ではなく観察研究のデータなのだから、相関関係が見られたからといって、それがそのまま因果関係を意味したりはしない。相関係数が高いなどというのは、何の保証にもならないのだ。

 当然のことながら、このような場合、片方の変数を変化させても、もう一方の変数が期待通りに変化するとは限らない。

 逆に、因果関係があるにもかかわらず、交絡因子の存在によって相関関係が観測されないなどといった事態も起こり得る。この場合は、表面上のデータから因果関係が読み取れないために、問題の存在そのものが見逃されてしまう恐れがある。

 だから、、、

 因果関係と相関関係の違いを正しく理解していない人に経済政策の提言をさせてはいけない。

 問題点の指摘は大いにやってもらって構わないのだけどね〈笑〉。