「選択バイアス」+「イデオロギー色の強いプロパガンダ」という最悪の組み合わせ

Association between sustainable dietary patterns and body weight, overweight, and obesity risk in the NutriNet-Santé prospective cohort

The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 112, Issue 1, July 2020, Pages 138–149, https://doi.org/10.1093/ajcn/nqz259

↑ これ!

 不愉快だったので、見なかったことにしようと思っていたのだが、そうすると余計ストレスが溜まりそうなので、少々コメントしておく。

 使用されているデータは、「前向きコホート」と称されてはいるが、希望者が自己申告で情報を書き込むものであり、この時点でモノスゴイ選択バイアスがかかっている。「看板に偽りアリ」である。

 そして、そのバイアスを裏付けるかのように、女性の割合が75%以上という異様な比率になっているのだ。まともな研究者なら、このデータを使って分析を行う気にはならないだろう。

 インターネットを利用して大量のデータ を集めようという発想そのものは悪くない。しかし、後で研究に使おうというのならば、「質」への配慮は必要だ。計画を実行に移す際に、誰もこの点について疑念を抱かなかったのならば、その人たちは、そもそも「研究」には向いていなかったのである。

 しかも、驚くべきことに、彼らはこのデータを利用して、「持続可能性の高い食事パターン」と「体重増加リスク」の関連を探ろうとするのである。この「持続可能性の高い食事パターン」という概念が、また、ひどく恣意的なもので、


《そんなくだらない概念を提唱するヒマがあったら、満腹感を満たすためだけに必要量の何倍もの肉をむさぼり食っている自国のデブを何とかしろよ》


と、絶叫したい気分にさせられる。これは、主として、アメリカとフランスの、自称・研究者を念頭に置いての感想である。連中が深刻そうに論じている「問題」の大半は、過食と獣肉の過剰摂取の問題に過ぎない。

 確かに、Sustainable Dietary Patternsなどというタイトルをつければ、不勉強なくせに意識だけは高い読者が「釣れる」可能性は高いだろう。しかし、それは、研究者がやるべきことなのだろうか?