全粒穀物のメリットは、玄米では確認されていない②

 たとえば、2017年にランセット誌に発表された食習慣と疾病に関する研究は、膨大な量のコホート研究を基盤にしていて、内容的に極めて重要なものだが、、、(⇩)

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)30041-8/fulltext

 しかし、そこから《推定される》、日本人における超過死亡率上昇への寄与要因として、「全粒穀物(不足)」や「種実類(不足)」などが挙げられているのを見ると、首をかしげたくなる。それは単なる類推であって、「日本人を対象とした」「介入研究のデータ」に基づいた主張ではなかろう。

 さらに、実現性にも難がある。

 玄米について言えば、調理前の浸漬時間が長過ぎて日常食には向かないし、一部のメーカーが製造・販売している早炊き製品は、予算の点で一般家庭にはなかなか受け入れられないだろう。

 パンは、全粒粉パンどころか、ごく少量の全粒粉を混ぜただけの製品ですら、はっきり言って売れていない。

 うどんは製品として成立するかどうかすら怪しいし、蕎麦は挽きぐるみの粉を使ったとしても、使用率が低ければメリットが乏しく、使用率が高ければ価格が跳ね上がる上に上手に茹で上げるのが難しくなる。

 全粒粉のパンやパスタがそれなりに市民権(?)を得ている欧米とは根本的に事情が違うのである。

 意識高い系(意識他界系?)のインテリや亜インテリはそういう実情を無視したり、自分がちょっとした努力で出来たのだから他の人たちにも出来る筈だと夢想しがちだが、個々人の食習慣などというものは、そう簡単に変えられるものではない。