「塩酒一杯はこれを許す」なる言葉は、致酔飲料としての負の側面は認めつつも、医薬品として、体を温めたり、苦痛を和らげたりする効果があることを踏まえて、空海が下した粋な判断だ、、、と、酒を飲んではいけない筈の高校生の私は思ったものだった(※1)(※2)。
先日、何故かその言葉を思い出し(たぶん雪が降って寒かったせいだ(※3))、さすがに空海自身のオリジナルではなく、何らかの典拠があるのだろう、と思いつつ検索してみたところ、こんなページを見つけた。わかりやすくて良い(⇩)。
http://www.horakuji.com/lecture/silavibhatti/alcohol/kuukai.htm
しかし、この言葉の根拠は、経典ではなく、恵果(空海の師匠)と順暁との問答なのだという。これは怪しいなあ〈笑〉。
律蔵で医薬品としての用い方について説かれているのだからそれを引用すれば良いのに、それではインパクトが弱いとでも思ったのだろうか?
※1 中学生の時に、新発売されたばかりの「タコハイ」や「ペンギンズ・バー」を飲んでみたのが飲酒デビューということになるのかな。しかし、考えて見ると、酒屋の店員も、そんなガキに、よく酒を売ったものだなあ。
※2 当時親しかった友人に勧められて、『空海』(稲垣真美・徳間文庫)を読んだのがきっかけで、司馬遼太郎や梅原猛の著作、花岡秀友・松長有慶・宮坂宥勝といった学者の概説書、果ては池口恵観や桐山靖雄の宗教書(?)などといった怪しげなものにまで目を通していたので〈笑〉、そのうちのどれかで目にしたのだろう。っていうか、高校生なんだからキチンと学校の勉強をしろよ!
※3 また雪かよ。
《追記》2023.07.14
紹介したサイトがなくなっているようなので、代わりに『御遺告』の現代語訳を掲載しているページを載せておきます。飲酒について述べているのは、十九番目です。
(⇩)