医師向け医療ニュースでこんなタイトルをつけてはいけない。せめて「向上させる」ではなくて「向上させる?」ぐらいにとどめておくべきだった。
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https://www.carenet.com/news/general/hdn/57723
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この記事だけ見ると素晴らしい結果が出たかのように錯覚しそうになるが、元の論文を確認すればわかるように、何種類ものテストのうちの大半には有意差がなく、たまたま、いくつかに違いが見られたというだけのことである。
これまでも何度か指摘していることだが、一度の調査にいくつもの評価ポイントを詰め込むと、そのうちのいくつかには、偶然、有意差が観測されてしまう。だから、マトモな研究者なら、避ける筈のやり方だ。
ところが、「食品企業が資金を提供している研究」では、むしろ、この手口を積極的に使っているのではないかと疑われる例が多い。嘘でもいいから、形の上だけでも効果があったかのような「成果」が欲しいのだろう。レベルの低い学術誌であっても、掲載されさえすれば、機能性食品の申請に使えるからね〈笑〉。
きちんと勉強している医師なら、元の論文に目を通しさえすれば、ほぼ確実に根拠薄弱であることに気づくだろう。しかし、この記事だけしか読まなかった場合、「わさびは記憶力改善に効果アリ」という「印象」だけがインプットされてしまうかもしれない。要注意である。
親切なことに、McGill大学のサイト内のコラムでツッコミを入れてくれている。まあ、穏当な内容であると言えよう。
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https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition/wasabi-more-just-sushi-condiment
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冒頭で、こういう野菜の仲間だと色々と例を挙げているくだりをみて、「ああ、そういえばアブラナ科だったな」と思い出すあたり、私もまだまだ修業が足りない(⇍何の修業?)。