「超加工食品」という基準を用いて調査・研究を行おうと発想する時点で、その人物には、かなり強い認知バイアスがかかっていると見て良い。まともな研究者なら、油脂・塩分・精製糖類の過剰摂取や食物繊維・ビタミン類の過少摂取といった、より穏当な角度から研究をスタートさせる筈だからだ。
もちろん、そういったオーソドックスな研究はあらかたやり尽くされていて、プライオリティーを主張出来るような新たな知見は生まれにくい。そんな事情もあって、ちょっと変わった角度の研究をやってみたくなるのだろう。その気持ちはわからないでもない。
しかし、その結果とびついたのが「超加工食品」というのでは、やはりセンスが悪いのだろうな、と思わざるを得ない。
そのセンスの悪さを反映してか(失礼!)、調査モデルの設定もかなりアバウトである。査読アリの専門誌で、よくこれが受理されたものだ。
以下のリンク先は、専門家の先生がたによるツッコミのコメントである(⇩)。
expert reaction to study looking at ultra-processed food consumption in childhood and body fat trajectories into early adulthood
JUNE 14, 2021
付記
※ 全く同じ材料を使ったとしても、家庭でママが焼いたパンケーキは普通の加工食品で、工場で大量生産されたパンケーキは「超加工食品」ということになるのかな?その時点で怪しい分類基準だって気づけよ〈笑〉。
※ 7歳の時点でのたった三日分の食事データを、その後の20代半ばまでの肥満度の推移と関連づけようという発想がスゴイ(もちろん悪い意味で)。
※ 糖類を含んだソフトドリンクは「超加工食品」に分類される。重量ベースで判定するのが慣例みたいになっているから、ソフトドリンクをよく飲む人は「超加工食品」の摂取比率が高いと見做されやすい。しかし、7歳の子供がソフトドリンクをがぶ飲みしているようなら、その家庭には、食事内容以前に何か改善すべき点があるのではないか?