仮にあなたが、必要あって、ある人物から金を借りたとしよう。
一定の利息が条件ではあるが、必要な金額を気前よく貸してくれたなら、とりあえずは、この人物に対して好意を抱くかもしれない。
しかし、である。
仮にこの人物が、顔を合わせる度に、もっと利息にイロをつけるべきだなどと言い出し、あげくの果てに、家族の生活費を削ってでも利息を増やせ、と要求してきたら、腹を立てること無く相手の言い分に従うことが出来るだろうか?
株式を上場している企業が、グローバル投資家(および、その亜群)から突き付けられている条件とは、このようなものである。「ふざけるな!」と激怒して、方向転換を図るのが、自然な感情というものであろう。
しかし、実際には、上場企業というステータスに幻惑されて、そんな理不尽な言い分に、唯々諾々と従っているのがここ20年ほどの「経営者」たちなのではあるまいか? いくら口先でそれを否定しても、株主配当の異様な増加と、人件費の不自然な抑制を見れば、その奴隷根性は一目瞭然である。
はっきり言って、こんな状態では、内需主導の安定した経済成長など望むべくもない。「大胆な金融政策」も「積極的な財政政策」も焼け石に水であろう。少し前に話題になったMMTなども同断である。何故、こんな欠陥に目を背けたまま、内輪同士のマニアックな「論戦」に夢中になれるのだろうか?